ネバーランドの夢物語
久しぶりにあの人に逢いました。
逢うまで私はあの人のことを忘れているのではないだろうかというぐらいに、頭の片隅にも思い出すこともしなかったのですが、いざ逢ってみるとどうしてそんな風に思い出すこともしなかったのか不思議でたまりませんでした。
それほどに私はあの人のことが気になって仕方がなかったのです。
気になって気になって、目で追わずにはいられなかったのです。
久しぶりに見たあの人は幾分痩せたように見えました。
アニメ化が決まって漫画の方も順調で忙しいのでしょうか。またカップラーメンばかり食べて野菜を食べていないのでしょうか。まるでどこかの漫画の主人公みたいです。
とんこつラーメンが好きで、そればかり食べている人。
スタッフもそれに巻き込まれてとんこつラーメン漬けの日々を送っているのでしょうか。
それにしても、もともと細身のあの人が痩せていることに私は心配になりました。
倒れられては困ると思ったからです。
しかし、なぜ?
倒れられては困ると、誰が困るというのでしょう。
編集部?スタッフ?
……私が?
相変わらず重そうなシルバーアイテムを身に付けていました。
側によったらじゃらじゃらと音がしそうでした。
首にも、腕にも、指にも、腰にも。
私があの人と良く逢っていたときと同じように、同じ場所に身に付けていました。あの人の指は、思いがけず長くて綺麗な爪をしていました。あの人はそれが嫌なようで指が綺麗なことがコンプレックスのようでした。
女性の私からすれば贅沢な悩みです。
だけどその綺麗な指であっても、あの人の手は男の人の手でした。
大きくて私の頭をぽんぽん撫でた感触を思い出しました。
あの人のアドバイスを受けて改善して行く私の漫画を、正確にはネームを読んで、あの人は「いい子だ」と言うのです。
思い出したらなぜか涙が溢れてきそうになって、思わず息を詰めました。
目を閉じることも、視線を下に向けることもできません。
少しでも動いたら涙が零れてしまいそうな気がしました。
見ているだけで辛い気持ちもあるのだと、私はようやく理解した気がします。
恋愛漫画を描いていながら、恋する人の気持ちが理解していなかったのでしょうか。
恋とは辛いものです。
私はどこで、間違ったのでしょう。
間違ったというより、何を見ていたのでしょう。
一時期、私はたぶん誰よりも、あの人のスタッフの安岡さんを除けば、誰よりもあの人のそばにいた時期があったというのに、今は遠くて話しかけることもできません。
あれはなんだったのでしょう。
ネバーランドの夢物語?
私は何を望んでいたのでしょう。
「好きだ」と言ってくれたら、どんなによかったことでしょう。
「好きです」と言えていたら、どんなに幸せだったことでしょう。
辛いことも、嫌なことも、嬉しいことも、いろんな感情をあの人にはぶつけられたのです。ぶつけることができたのです。
なのに、「好き」という感情だけは、一体心のどこに隠してしまったというのでしょうか。
心の奥底にあったものが、今更どうして出てきてしまったのでしょうか。
今更、どうしてですか……?
今更、私はあの人に「好き」とは言えないのに。
見ていることしかできない恋は、辛いものです。
いっそ過去のものにできたらいいのに。
いっそあの頃に戻れればいいのに。
戻れたら時間なんて止まってしまえばいいのに。
だから私の漫画はお花畑なんて言われてしまうんだ。
現実は痛くて辛い。
背中を追うことを許されるでしょうか。
今繋いでいる手を離してもいいでしょうか。
何をしているんだって、怒られてしまうでしょうか。呆れるでしょうか。
結局私には一歩踏み出す勇気はいつだってないのです。
あの人のひとことがないと、私はいつだって前に進むことができないのだと、私はつくづく思ったのです。
つくづく馬鹿だと思ったのです。
逢うまで私はあの人のことを忘れているのではないだろうかというぐらいに、頭の片隅にも思い出すこともしなかったのですが、いざ逢ってみるとどうしてそんな風に思い出すこともしなかったのか不思議でたまりませんでした。
それほどに私はあの人のことが気になって仕方がなかったのです。
気になって気になって、目で追わずにはいられなかったのです。
久しぶりに見たあの人は幾分痩せたように見えました。
アニメ化が決まって漫画の方も順調で忙しいのでしょうか。またカップラーメンばかり食べて野菜を食べていないのでしょうか。まるでどこかの漫画の主人公みたいです。
とんこつラーメンが好きで、そればかり食べている人。
スタッフもそれに巻き込まれてとんこつラーメン漬けの日々を送っているのでしょうか。
それにしても、もともと細身のあの人が痩せていることに私は心配になりました。
倒れられては困ると思ったからです。
しかし、なぜ?
倒れられては困ると、誰が困るというのでしょう。
編集部?スタッフ?
……私が?
相変わらず重そうなシルバーアイテムを身に付けていました。
側によったらじゃらじゃらと音がしそうでした。
首にも、腕にも、指にも、腰にも。
私があの人と良く逢っていたときと同じように、同じ場所に身に付けていました。あの人の指は、思いがけず長くて綺麗な爪をしていました。あの人はそれが嫌なようで指が綺麗なことがコンプレックスのようでした。
女性の私からすれば贅沢な悩みです。
だけどその綺麗な指であっても、あの人の手は男の人の手でした。
大きくて私の頭をぽんぽん撫でた感触を思い出しました。
あの人のアドバイスを受けて改善して行く私の漫画を、正確にはネームを読んで、あの人は「いい子だ」と言うのです。
思い出したらなぜか涙が溢れてきそうになって、思わず息を詰めました。
目を閉じることも、視線を下に向けることもできません。
少しでも動いたら涙が零れてしまいそうな気がしました。
見ているだけで辛い気持ちもあるのだと、私はようやく理解した気がします。
恋愛漫画を描いていながら、恋する人の気持ちが理解していなかったのでしょうか。
恋とは辛いものです。
私はどこで、間違ったのでしょう。
間違ったというより、何を見ていたのでしょう。
一時期、私はたぶん誰よりも、あの人のスタッフの安岡さんを除けば、誰よりもあの人のそばにいた時期があったというのに、今は遠くて話しかけることもできません。
あれはなんだったのでしょう。
ネバーランドの夢物語?
私は何を望んでいたのでしょう。
「好きだ」と言ってくれたら、どんなによかったことでしょう。
「好きです」と言えていたら、どんなに幸せだったことでしょう。
辛いことも、嫌なことも、嬉しいことも、いろんな感情をあの人にはぶつけられたのです。ぶつけることができたのです。
なのに、「好き」という感情だけは、一体心のどこに隠してしまったというのでしょうか。
心の奥底にあったものが、今更どうして出てきてしまったのでしょうか。
今更、どうしてですか……?
今更、私はあの人に「好き」とは言えないのに。
見ていることしかできない恋は、辛いものです。
いっそ過去のものにできたらいいのに。
いっそあの頃に戻れればいいのに。
戻れたら時間なんて止まってしまえばいいのに。
だから私の漫画はお花畑なんて言われてしまうんだ。
現実は痛くて辛い。
背中を追うことを許されるでしょうか。
今繋いでいる手を離してもいいでしょうか。
何をしているんだって、怒られてしまうでしょうか。呆れるでしょうか。
結局私には一歩踏み出す勇気はいつだってないのです。
あの人のひとことがないと、私はいつだって前に進むことができないのだと、私はつくづく思ったのです。
つくづく馬鹿だと思ったのです。
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